ヨーロッパの夜行列車について
LCCと格安夜行バス全盛期の現代、日本ではほぼ絶滅した夜行列車ですが、ヨーロッパ内では夜行列車が現役で走っています。当然ヨーロッパでも大手のLCCから中小のLCCまで多数ありますし、格安バスもFlixBusを筆頭に都市間バスが昼夜問わず多数走っていますので、その点は日本と同じ環境ですが、それでも夜行列車が現役で真っ向から勝負しているのは大したもんだと思います。
ヨーロッパの夜行列車は主にOBBオーストリア鉄道が幹事会社の幹線系夜行列車が「ナイトジェット」、亜幹線ないし多国籍間の夜行列車が「ユーロナイト」、その他の夜行列車が「ICインターシティー」として運転されています。
オーストリアまたはドイツ国内を発着する列車は各国鉄のHPで予約・発券まで出来てしまいますし、日本にいながら簡単に手配することが可能なので非常に便利かと思います。
その他にローコストトレイン(LCT)としてRegioJetが運行する格安夜行列車なんかもありますので、区間によっては物凄く安く夜間移動が出来るのがポイント。
プラハから出るRegioJetの夜行列車(チェコ国内線)はめちゃくちゃ乗ってましたねぇ。これかなり人気だと思います。やすいし。
私もヨーロッパの夜行列車に何度か乗りましたが、基本的に治安も良好で都市間を寝ながら移動できるというメリットを最大限享受出来ていると思います。
夜行列車については様々なサイトで詳しく紹介されていますが、一応経験を元にまとめておきます。参考になるかどうかわかりませんが…
【予約の仕方】
先に書いたとおり、各国鉄のHPから予約ができます。ここで注意しなければならないのが、出発する国のHPで予約すること。eチケットで出力される国がほとんどですが、中には駅できっぷと引き換える必要があるもの、逆方向は発券が出来ないものが存在しています。ドイツ国内発であればDB、オーストリア国内発であればOBB、チェコ国内初であればCDと、出発駅の国を基準に予約をすることをおすすめします。
例としてDBのHPでハンブルク→ミュンヘンのナイトジェットの予約をしてみます。
①DBのHPを開きます。
②トップ画面に早速入力する欄があるので、希望の区間を英語で入力します。
全ての文字ではなく、ハンブルクならhamまで入れたら候補が出てきます。
②希望の区間、日時、クラス(1等or2等)を入力すると、検索結果が出てきます。
夜行だけではなく昼行列車も出てくるので、詳細を確認します。
この場合はハンブルク中央駅を20:29発、ミュンヘン中央駅に翌朝7:12に到着するナイトジェット(NJ)がヒットしました。なお、赤いボタンをクリックするとインターナショナルの画面に推移しますが、これはオーストリアのインスブルック行きですので国際列車の扱いとなるためです。
③人数と生年月日を入れます。その横のタブはドイツ国内のIDカード所持者向けになるので、特に選択しなくてもOK。生年月日を入力することによって、ユース割引ですとか、シニア割引なんかが適用になることもあるので、日/月/西暦の順で入力します。
④残念ながらユースでもシニアでもないので、ノーマルの運賃になります。
⑤ここで座席or寝台の選択をします。1等で選択すると寝台も選択出来ます。
Bed in a compartment=クシェット寝台(簡易寝台)、Bed in a Deluxe compertmentは1等寝台になります。一人旅ですと相席になる可能性がありますが、部屋を貸切として使用することも可能なので、その際は1bedを選ぶと個室が貸切になります(貸切料金が含まれて高い価格で表示されています)
なお、Non-flexは制限付き格安チケットで、飛行機で言う先得割引的なものです。既に旅程が確定していて、変更も絶対ない場合は一番安い価格で抑えてしまって問題は無いと思います。
⑥座席の選択をします。2等でもクシェット他でも座席の大まかな希望は出せますので、例えば女性であるならばfemaleを選択すると女性だけのコンパートメントで割り振りされますし、座席の上段下段も選択できます。座席種別や列車によっては女性席を選べないこともあるので、その点は注意です。
⑦個人情報を入力します。特段難しいことは無いので省略。電話番号は090-1234~ではなく、81901234~と国番号を入れて入力します。
⑧最後のチェック画面です。今まで選択した内容で問題がなければ条件承諾のチェックを入れて赤いボタンをクリックします。間違っていれば最初からやり直しになります。
⑨最後にカードかペイパルで決済します。カードはVISA/MASTERしか使えないので、特にJCBホルダーは要注意です。これで決済すると、決済完了後に事前に入力したメール宛にeチケットがPDFで送られてくるので、印刷を必ずして旅行に出かけることになります。
予約自体はそれほど難易度が高くないので、簡単な英語さえわかれば誰でも予約が出来ますし、奥の手Chromeの自動翻訳でやってしまう手もあります。ガバガバ翻訳なのでオススメはしませんが・・・
⑩メールが届くとこんな感じできます。PDFを印刷して、念の為ネット上で直ぐに出せるように印をつけるですとか、クラウドや端末に保存しておくことをおすすめします。
【実際の列車】
先程の予約画面でみたナイトジェットにハンブルク→ミュンヘン間を実際に乗車しましたが、繁忙期でツーリング中のいかついおっさんと相席になりました。特別治安が悪いこともないですし、日本の夜行列車のように静かに寝てれば問題はないと思います。
なぜツーリング中のおっさんと相席になるかといえば、繁忙期はカートレインが併結されるので、構外のモータープールに入線前に待機して、係員の指示で自らバイクや自動車をカートレインに積載させます。そして人間は指定席で寝て目的地まで行くというのがヨーロッパの夜行列車スタイル。人気路線にはカートレイン併結は日本で流行らなかったスタイルですねぇ…
これは結局流行らないでなかったことにされた日本海MOTOトレイン・・・
4人用のクシェットです。シーツ枕毛布と、一人一本の水がサービスで置いてあります。あとは洗顔用の固形石鹸もありました。
3段式の寝台ですが、2段運用も出来るので、その都度ベッドを組成しているようです。
ちょっと手狭な印象もありますが、やはり寝て目的地まで行けるメリットはかなり大きいです。荷物は下段寝台の下に無理やり押し込むことになりますが。
こちらは先日のチェコ国鉄1等寝台シャワー付きです。ベッドメイキングが既に済んであって、個室内にトイレとシャワー、洗面台が無理やりついている車両になります。
1等だと適当にジップロック袋にぶん投げられたスリッパシャンプーアメニティセットがあります。
ここで注意点ですが、プラハ→ブダペスト間のクシェットではない2等寝台は共有のトイレ・シャワーがある(無料)ので、別に1等にしなくてもいいかなと思った次第ですが、ハンブルク発インスブルック行は個室にしかシャワーが無いので、その列車の設備によって検討することが必要です。特にシャワー浴びなくても気持ち悪くない人なら選択しやすいでしょうが、せめても夜はシャワー浴びたい人なので…
OBBのナイトジェットは本当に簡単な朝食サービスがクシェットでもありました。前日夜にコーヒーか紅茶か聞かれるので、車内改札のときにリクエストを伝えておけば、翌朝適当な時間に部屋まで持ってきてくれます。
コーヒーとパンとスナックだけの質素なメニューですが、有ると無いとだとあったほうがいいですし、こういうところで高速バスとは違うんだぞ!と熱烈にサービスで対抗しているように見えます。
他に別途料金を払えば利用できる車内サービスもあったりするので、利用の際は車掌に一言言えばOKです。先日のプラハブダペストの1等はこんな感じ。
飲み物はそれなりの値段ですが、ちゃっかりカードまで使えるのは流石。
ちなみにですが、ヨーロッパ内の主要な大駅にはどこかにシャワーブースがあったりします。例えばこんなところ。
Munich platform 26 at central station
地下にあるトイレに併設のシャワーです。7EURでバスタオル付き。
場所は26番線の近くに地下トイレがあるので、そこのトイレのおばちゃんにシャワー使いたい旨を言えばOKです。
【備考】
DBもOBBも介さない夜行列車(例えばプラハ→ブダペスト)は予約システムが少し違います。また、日本に比べれば適当臭いので、日本出国間際になってようやくネット予約を開始してみたり、予約開始日時を聞くと「システムの調整ミスったから予約できない」とかメールで返されるので、ダイヤ改正前後(毎年6月/12月)界隈は要注意です。
また、プラハ→ブダペストの寝台は席だけの予約しかできなかったので、乗車券は別途現地で購入することになりました。乗車券込のチケットなのか、寝台券だけのチケットなのか、事前に予約段階または予約終了後にも確認しておくことを強くおすすめしておきます。わからなかったら現地のきっぷうりばで乗車券が必要か聞いてみるのも一つの手です。